Wilson病:血清銅が低下するにもかかわらず、尿中銅排泄が増加したり、脳や角膜に銅が沈着する理由
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今後ともよろしくお願いします。
まず簡単にWilson病の病態をおさらいしましょう。
Wilson病の患者では肝細胞の銅輸送タンパク(ATP7B)が欠損しているため、腸から吸収した銅を胆汁中に排泄したり、セルロプラスミンと結合することができなくなっています。その結果、血清銅が低下するんでしたよね。
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(ダメレジ):だから肝臓に銅が沈着するんでしょう。それぐらいボクでも知っていますよ。肝臓に銅が沈着するんだから同じ理由で脳にも沈着するに決まっています!!
確かに肝臓に銅が沈着する理由はそれで説明できますが、脳や角膜に銅が沈着する理由にはなっていません。肝臓と他の臓器を一緒に考えてはいけません。
解説の前に、なぜ尿中の銅排泄は増加するのでしょうか。
(ダメレジ):銅が蓄積した肝細胞が壊死して、その結果銅が血中に漏れて腎臓に運搬されるからでしょ。 あれ…でも血清銅は低下するはず… んー、 ギブアップです。
(解説)
Wilson病では、セルロプラスミンと銅の結合が阻害されています。その結果肝細胞内に過剰な銅が蓄積し肝細胞は壊死に陥ります。
すると、肝細胞壊死によって血中に出た銅はアルブミンと結合し全身の臓器(腎臓、脳など)に運搬されるため、銅の尿排泄が増加します。
同じ理由で脳や角膜に銅が沈着し、中枢神経症状や、Kayser-Fleischer輪が認められるわけです。
次に血清銅低下の説明です。
血清銅とはセルロプラスミンと結合した銅と、アルブミンと結合した銅の合計値を指しています。Wilson病ではこの合計値、つまり血清銅は低下していますが、アルブミンと結合した銅が正常よりも増加しているため臓器障害がおこるわけです。
(セルロプラスミンはアルブミンと比べて銅との結合力が高いため臓器障害は起こさ
ない)