南米出発前夜(小説風語り)
今日はなんだかそわそわしている。
旅行の前夜はいつもそうだ。
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持ち物に不足はないのか数時間おきに気になり、何度も旅行カバンをひっくり返すことになる。そういった一連の作業を何度も繰り返し、心を落ち着かせる。
荷物の総重量が搭乗の規格を満たしていることなんてもちろん確認済みだ。
村上春樹ならここでとっておきのシミルを繰り出すに違いない。
だが私にそんな能はない。
ただひとつ伝えたいことがあるとすれば、
私は今とてもわくわくしている。
明日からの事をはなさねばならない。
明日から2週間私は卒業旅行に行く。
行先はマチュピチュ、ウユニ塩湖、イグアスの滝だ。
南米は医学生の卒業旅行の定番のひとつであり、2月から3月にかけて「南米にいる日本人」シェア1位は医学生に違いない。
南米旅行中、私が一番楽しみにしているのがウユニ塩湖である。
ここ何年かで一躍有名になったウユニの鏡張りを私も体験して来ようと思う。
鏡張りが好きなのは日本人だけとはよく聞くが果たして本当だろうか。
真偽はさておき、ただ現実を忘れ楽しむとしよう。
旅行に先駆け、スペイン語を少しばかり勉強した。
向こうでは英語が通じないことも多々あるらしい。
そんななか2週間も旅行できるのだろうか。
いささかの不安を抱きつつ今日もワンフレーズだけ習得した。
¿Aceptan tarjeta de crédito?
もうこんな時間だ。明日に備えて早く寝よう。
今日はなんだかそわそわしていた。
旅行の前夜はいつもそうだ。