クロールの値、みてますか?(110回医師国家試験まであと16日)
ちゃくちゃくと国試までの日程が近づいていますね。
少しずつ焦りというか緊張感が芽生えてきました。
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穂澄先生とコラボする民谷先生が国試予想のメルマガを配信するそうなのでシェアします。
これ。
本日18時より国試本番まで毎日配信!
必修問題の「こんな罠あるある」など国試に役立つ予想を配信してくださるそうです。
配信希望の人は上記リンクから「直前向けメルマガ」から申込フォームに記入すると
登録できるそうです。
さて、今日はいつもと違った切り口で国試を解こう!ということで
まずはこちらの問題を見てください。
108D53の問題です。
この問題の正答率は、なんと21%しかありません。
褐色細胞腫を疑わせるエピソードがあって、3度高血圧もあるので
大多数の人がaの腹部単純CTと、cのMIBGシンチグラムを選択し間違ってしまったようです。
実際の正解はaとeでした。
すなわち、高血圧の原因として褐色細胞腫だけではなく原発性アルドステロン症を疑ってeの血漿レニン活性/アルドステロン濃度比測定も行わなければならない、
という少し難しい問題でした。
(MIBGシンチグラフィは侵襲性が高く、特異度も高い検査なので次に行うべき検査ではない)
では本番の国試でこのような難しい問題が出ればどうすればよいでしょうか?
ひとつの答えは、難しい問題は解けなくても構わない、のだから潔く捨てる。
(下記事参照)
それでも私はよいと思います。
ただ、少しでも合格するチャンスを上げたい、高得点をとりたい、という心配症の人も少なからずいると思います。(私もそうです)
ではどうするべきなのか?
それはずばり
たくさんのテクニックを身に着ける!
ことに他ならないと私は思います。
ですので今日はそのテクニックの一つを紹介したいと思います。
前置きが長くなりましたが、
今日のタイトル「クロールの値、みてますか?」
がキーポイントです。
皆さんは問題を解くとき、あるいは実習で患者さんの検査データを読むとき、
Clの値をみているでしょうか?
オーダーはするものの素通りすることが多いと思います。
しかし、今日はそれに注目していきましょう。
今日つかうテクニックは
Na-Clを計算する!
です。
正常な人であればNa-Cl=36になります。
これはどういうことかというと、
AG=Na-(HCO3+Cl)の式と、HCO3の基準値が24であることから
アニオンギャップ(AG)が正常な人であれば、(AGは12が正常)
Na-Cl=AG+HCO3=12+24=36
となります。
この知識を利用して
AGが正常な人の場合、
Na-Clが36を超えていたら代謝性アルカローシス
Na-Clが36より少なければ代謝性アシドーシス
ことがわかります。
説明が長くなりましたが、この知識を使って108D53をみると
Na-Cl=144-98=46となり、
代謝性アルカローシスになっていることがわかります。
この時点でなにかおかしい、と勘繰ることができれば原発性アルドステロン症も鑑別に入れることができたと思います。
(原発性アルドステロン症では、血中K濃度が低下するため細胞外液のHイオンも低下し代謝性アルカローシスを呈する)
いかがだったでしょうか?
これからは意識してClの値を読みそこからNa-Clの計算をする癖をつけましょう!